Gipsy Kings / Allegria

評価 :4.5/5。

1982年作品

 このアルバムと「Luna de Fuego」は、ジプシー・キングスの世界デビュー前の作品だ。そのため、後のCDに同じ曲が異なる録音で採録(再録?)されていたりする。
 しかし、だからと言って、このアルバムに価値が無いわけではない。いや、むしろ逆である。メジャー・デビュー後のサウンドように、ドラムや電子楽器の肉付けは無い。聴いた感じでは、一発録りで作られたような録音で、曲の間が掛け声でつながっていたりするけれど、それだけに彼らの土臭い情感が生で伝わってくる。
 サウンドは素朴で、かき鳴らすギターとパルマ(手拍子)と独特の節回しのカンテ(唄)、そしてトニーノ・バリアルド奏でるギターの旋律。これだけで出来上がっている。これらが渾然一体となって、御機嫌な音楽空間を創り上げているのだ。

 そして、なにより曲が良い。Pena Penita、Allegria、Djobi, Djoba、Un Amor、Pharaonと、名曲が目白押しだ。

 私が、UK版のCDを特に薦めるのは、国内盤「ジョビ・ジョバ」や米国盤「Allegria」では、「Allegria」と「Luna de Fuego」を一枚に編集しているため、当然一枚のCDには全ての曲が収まりきらないために、「Requerda」や「Pharaon」などの曲がカットされてしまっているからだ。ジプシーキングスの本当のファースト・アルバムが完全な形で聴けるのが、英国盤なのである。

 また、後にChico & the Gpysiesを結成するChico Bouchikhiが在籍していることも特筆すべきだろう。

 このアルバムはジプシー・キングスの原点なのである。

(註)この文章は2005年にアマゾンのレビューに投稿した私の文章に一部手を入れたものです。

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