Ozzy Osbourne / Blizzard of Ozz

評価 :5/5。

1980年作品

 ブラックサバス脱退後、オジー・オズボーンがランディ・ローズ(Randy Rhoads)を起用して作成したのがこのアルバムである。ランディはこの後もう一枚のアルバムを録音しただけで飛行機事故でこの世を去ってしまうのだが、ランディ亡き後のオジーのアルバムは格段に質が下がってしまう。異論があるかも知れないが、私はそう思っている。

 オジーのグループに所属する前のランディ・ローズはクワイエット・ライオット(Quiet Riot)のギタリストであったが、そちらの音源を聴いても、際立った個性や感動的な何かはまだ感じられない。ランディにとって、その才能を開花させるためにはオジーとの出会いが必要だったのだろう。

 オジーはあの伝説的グループ、ブラック・サバス(Black Sabbath)のボーカリストとして、既に著名な存在であったけれども、ランディを欠いた後のオジーのアルバムは私の期待したようなアルバムを出すことはなかった。オジー・オズボーンにとっては、天才的なギタリストの存在が不可欠だったのだろう。ブラック・サバスのトニー・アイオミにしても、オジーを支えたランディ・ローズにしても、鬼才と呼ぶにふさわしいギタリストで、作曲の才能は群を抜いていたと思う。彼らの紡ぎ出すギター・リフやメロディーは最高に格好よかった。どちらも、技術的に最高のギタリストではなかったけれども。

Musicians

  • Ozzy Osbourne: Lead Vocals / Harmony Vocals
  • Randy Rhoads: All Guitars
  • Bob Daisley: Bass Guitar / Harmony Vocals / Gongs
  • Lee Kerslake: Drums Percussion / Tubular Bells / Timpani Drums

Music(発売当時)

  1. アイ・ドント・ノウ – I Don’t Know – 5:14
  2. クレイジー・トレイン – Crazy Train – 4:51
  3. グッバイ・トゥ・ロマンス – Goodbye to Romance – 5:34
  4. ディー – Dee – 0:50
  5. 自殺志願 – Suicide Solution – 4:18
  6. ミスター・クロウリー<死の番人> – Mr. Crowley – 4:56
  7. ノー・ボーン・ムービーズ – No Bone Movies – 3:53
  8. 天の黙示 – Revelation (Mother Earth) – 6:09
  9. スティール・アウェイ – Steal Away (The Night) – 3:29

 現在発売されているアルバム(Blizzard of Ozz 40th Anniversary Expanded Edition)では、19曲もの曲がラインナップされているけれども、発売当初に収録されていたのは上記の9曲だ。

 エレキ・ギターを持っていた私は、若かりし頃にランディの演奏を何度もコピーした。クラシック・ギターを持っていなかったので、クラシック・ギターで弾くべきDeeをフォーク・ギターで無理やり演奏したものであった。自分で演奏しても、へたくそでも、美しいメロディーはやはり美しく、自分の指から紡ぎ出される旋律に感動したことを今も覚えている。

 アルバム全体が素晴らしいのであるが、中でも素晴らしいのはやはりMr. Crowleyであろう。重々しいキーボードの旋律に続いて、ドラマチックな曲が始まる。そして特筆すべきはランディ・ローズのギターソロ。旋律の美しさ、劇的な展開、何度聴いたかは判らない。ランディのギターソロがフェイド・アウトしてしまうのを何度恨めしく思ったことだろう。大変な傑作である。 

 Deeはランディ・ローズのギターソロ。大変短い曲だが、クラッシック・ギターで演奏されるクラシカルなこの曲は、このアルバムの中では異色を放っている。この曲と次のアルバムのタイトル曲Diary of a Madmanで聴ける前奏部分は、ランディのクラシック・ギターの素養がなければ生まれなかったものだろう。

 Revelation (Mother Earth)も劇的で、素晴らしい曲である。若いころ、雪の日に屋外で聴いたときに体がしびれるほど感動してしまった。音楽好きの私は、いつも楽曲を聴きながら移動しているのだが、自分の置かれた状況と優れた音楽が相俟った時にもたらされる特殊な効果はなかなか味わえないものだ。この曲もランディのギターソロが素晴らしい。

 忘れてはならないのが、Goodbye to Romanceだ。歪まないエレキ・ギターのアルペジオにのせたオジーの歌が爽やかで、心温まると言っても良いような曲である。次の曲Deeに続く展開も良い。重々しく、劇的な曲の中には、こういう曲も必要だ。レッド・ツェッペリンのThank Youのように。

 途中、ボブ・デイズリー、リー・カースレイクとのいざこざのために、この二人の演奏が別人の演奏に差し替えられるという「事件」があったけれども、現在新しく入手可能なものは、当初の演奏に戻されている。

 最高におすすめの一枚である。聞いたことがないなら、手にしてみて損はないはずだ。