Gipsy Kings / Luna De Fuego

評価 :4/5。

1983年作品

 Gipsy Kings のメジャー・デビュー前の作品が、きのう紹介したAllegria とこの Luna De Fuegoである。

 この2枚は、ギターと歌(カンテ)と手拍子(パルマ)だけとうふ、非常に素朴な編成で演奏されており、メジャーになった後よりも純粋な形でジプシー・キングスの音楽が楽しめる。

 Allegriaほどの名曲揃いではないが、手元に置いておきたい一枚である。

Gipsy Kings / Allegria

評価 :4.5/5。

1982年作品

 このアルバムと「Luna de Fuego」は、ジプシー・キングスの世界デビュー前の作品だ。そのため、後のCDに同じ曲が異なる録音で採録(再録?)されていたりする。
 しかし、だからと言って、このアルバムに価値が無いわけではない。いや、むしろ逆である。メジャー・デビュー後のサウンドように、ドラムや電子楽器の肉付けは無い。聴いた感じでは、一発録りで作られたような録音で、曲の間が掛け声でつながっていたりするけれど、それだけに彼らの土臭い情感が生で伝わってくる。
 サウンドは素朴で、かき鳴らすギターとパルマ(手拍子)と独特の節回しのカンテ(唄)、そしてトニーノ・バリアルド奏でるギターの旋律。これだけで出来上がっている。これらが渾然一体となって、御機嫌な音楽空間を創り上げているのだ。

 そして、なにより曲が良い。Pena Penita、Allegria、Djobi, Djoba、Un Amor、Pharaonと、名曲が目白押しだ。

 私が、UK版のCDを特に薦めるのは、国内盤「ジョビ・ジョバ」や米国盤「Allegria」では、「Allegria」と「Luna de Fuego」を一枚に編集しているため、当然一枚のCDには全ての曲が収まりきらないために、「Requerda」や「Pharaon」などの曲がカットされてしまっているからだ。ジプシーキングスの本当のファースト・アルバムが完全な形で聴けるのが、英国盤なのである。

 また、後にChico & the Gpysiesを結成するChico Bouchikhiが在籍していることも特筆すべきだろう。

 このアルバムはジプシー・キングスの原点なのである。

(註)この文章は2005年にアマゾンのレビューに投稿した私の文章に一部手を入れたものです。

Gipsy Kings / Roots

評価 :4.5/5。

2004年作品

 このアルバムは「ルーツ」と銘打っただけあって、メジャーデビュー前の作品を彷彿とさせる、ジプシー・キングスの原点に立ち返ったかのような作品だ。最小限の打楽器とコントラバス以外は、ジプシー・キングスのギターと歌とを思い切り堪能できる作品に仕上っている。

 二曲のFandangoは私の耳には完全なフラメンコに聞える。ギター一本とカンテ(歌)だけの素朴な作品なのだが、私はこのアルバムの中ではこの二曲が最も気に入っている。やはり彼らのルーツにはフラメンコと共通する部分が多いということなのだろう。フラメンコはスペイン南部アンダルシア地方に辿りついたジプシーたちの音楽が「ルーツ」なのだから。

 4曲目のBoleriasと13曲目のSoledadも秀逸だ。

 私はUK版のDVD付CDを手に入れたのだが、どうせ買うのならばこちらをおすすめする。このDVDは「ジプシー・キングスが田舎の別荘で演奏してゐる風景」とでもいう状況が採録されているのだが、これだけでも十分見る価値のある優れた作品だ。DVDはPAL方式のためテレビでは見ることができないようだが、私のパソコンでは何の問題もなく再生できた。

(註1)この文章は平成20年の文章に一部手を入れたものです。
(註2)DVD付きのCDは現在では入手が困難になっているようです。

Gipsy Kings

評価 :5/5。

1988年作品

 鬼平犯科帳の終りに流れるスペイン風の少し物悲しいギター曲。随分前から気になっていたそれは、雪の中で蕎麦を喰う江戸時代の映像と奇妙に調和が取れていた。最後にジプシー・キングスと出る。曲名はインスピレイションらしい。
ジプシー・キングス。何だ?

 そのうち、良く行く店でこのCDを見付けた。どうやら、鬼平のあの曲も入っているらしい。

 CMで聴いたのだろうか、知っている曲も幾つかあったが、正直言うと独特の節回しで歌われる他の曲には、最初は馴染めなかった。しかし、このCDは何度も聴くうちにだんだん好きになるタイプの作品である。私の経験では、初め理解できなくても、聴込むうちに好きになるようなアルバムは本当に良い作品である。このCDは今や私のお気に入りの一つだ。

 このCDは、ギター好きの方には特にお薦めです。インスピレイションのような、ギター・サウンドが堪能できる曲が他にも収録されています。

 以上、2005年にアマゾンに投稿した私の文章である。今読んでも修正する必要は感じないので、そのまま再掲した。

 ただ一点追記しておきたいのは、ジプシー・キングスは癖が強い分、中毒の恐れがあるということだ。このCDを手に入して以来、私は憑かれたようになって、ジプシー・キングスのCDを買い漁ったことをお知らせしておきたい。