Ozzy Osbourne / Diary of a Madman

評価 :5/5。

1981年作品

 前作で暗黒の安息日から脱出して、白魔術に転向したかのように見えたアルバム・ジャケットだったが、今作では悪の化身に逆戻りしてしまったようだ。ジャケットのデザインはいただけないが、音盤から流れ出る楽曲はこの上なく素晴らしい。

Musicians

  • Ozzy Osbourne: Vocal
  • Randy Rhoads: Guitar
  • Bob Daisley: Bass Guitar
  • Lee Kerslake: Drums

 演奏しているメンバーは前作と同じである。このアルバムも、2002年に発売されたリマスター盤でドラムスとベースが別人の演奏に差し替えられるという事件があったけれども、2011年発売のレガシーエディションからは元の音源に戻されている。これから入手するのならば、オリジナルの演奏が聴けるレガシーエディションよりも新しい盤を選ぶべきである。

Music

  1. オーヴァー・ザ・マウンテン – Over the Mountain – 4:31
  2. フライング・ハイ・アゲイン – Flying High Again – 4:44
  3. ユー・キャント・キル・ロックン・ロール – You Can’t Kill Rock and Roll – 6:59
  4. ビリーヴァー – Believer – 5:15
  5. リトル・ドールズ – Little Dolls – 5:39
  6. トゥナイト – Tonight – 5:50
  7. S.A.T.O – S.A.T.O – 4:07
  8. ダイアリー・オブ・ア・マッドマン – Diary of a Madman – 6:14

 全体的に良い曲が多く、はずれのない構成になっているが、私はFlying High Again、 Tonight、S.A.T.O、Diary of a Madmanが特に好きだ。Tonightから続く3曲の素晴らしさは言葉にするのが難しい。Diary of a Madmanの冒頭部分はクラシック・ギターの素養がなければ生まれなかったフレーズだと思う。S.A.T.Oの劇的なところも良い。

 絶対にお勧めの一枚である。

Ozzy Osbourne / Blizzard of Ozz

評価 :5/5。

1980年作品

 ブラックサバス脱退後、オジー・オズボーンがランディ・ローズ(Randy Rhoads)を起用して作成したのがこのアルバムである。ランディはこの後もう一枚のアルバムを録音しただけで飛行機事故でこの世を去ってしまうのだが、ランディ亡き後のオジーのアルバムは格段に質が下がってしまう。異論があるかも知れないが、私はそう思っている。

 オジーのグループに所属する前のランディ・ローズはクワイエット・ライオット(Quiet Riot)のギタリストであったが、そちらの音源を聴いても、際立った個性や感動的な何かはまだ感じられない。ランディにとって、その才能を開花させるためにはオジーとの出会いが必要だったのだろう。

 オジーはあの伝説的グループ、ブラック・サバス(Black Sabbath)のボーカリストとして、既に著名な存在であったけれども、ランディを欠いた後のオジーのアルバムは私の期待したようなアルバムを出すことはなかった。オジー・オズボーンにとっては、天才的なギタリストの存在が不可欠だったのだろう。ブラック・サバスのトニー・アイオミにしても、オジーを支えたランディ・ローズにしても、鬼才と呼ぶにふさわしいギタリストで、作曲の才能は群を抜いていたと思う。彼らの紡ぎ出すギター・リフやメロディーは最高に格好よかった。どちらも、技術的に最高のギタリストではなかったけれども。

Musicians

  • Ozzy Osbourne: Lead Vocals / Harmony Vocals
  • Randy Rhoads: All Guitars
  • Bob Daisley: Bass Guitar / Harmony Vocals / Gongs
  • Lee Kerslake: Drums Percussion / Tubular Bells / Timpani Drums

Music(発売当時)

  1. アイ・ドント・ノウ – I Don’t Know – 5:14
  2. クレイジー・トレイン – Crazy Train – 4:51
  3. グッバイ・トゥ・ロマンス – Goodbye to Romance – 5:34
  4. ディー – Dee – 0:50
  5. 自殺志願 – Suicide Solution – 4:18
  6. ミスター・クロウリー<死の番人> – Mr. Crowley – 4:56
  7. ノー・ボーン・ムービーズ – No Bone Movies – 3:53
  8. 天の黙示 – Revelation (Mother Earth) – 6:09
  9. スティール・アウェイ – Steal Away (The Night) – 3:29

 現在発売されているアルバム(Blizzard of Ozz 40th Anniversary Expanded Edition)では、19曲もの曲がラインナップされているけれども、発売当初に収録されていたのは上記の9曲だ。

 エレキ・ギターを持っていた私は、若かりし頃にランディの演奏を何度もコピーした。クラシック・ギターを持っていなかったので、クラシック・ギターで弾くべきDeeをフォーク・ギターで無理やり演奏したものであった。自分で演奏しても、へたくそでも、美しいメロディーはやはり美しく、自分の指から紡ぎ出される旋律に感動したことを今も覚えている。

 アルバム全体が素晴らしいのであるが、中でも素晴らしいのはやはりMr. Crowleyであろう。重々しいキーボードの旋律に続いて、ドラマチックな曲が始まる。そして特筆すべきはランディ・ローズのギターソロ。旋律の美しさ、劇的な展開、何度聴いたかは判らない。ランディのギターソロがフェイド・アウトしてしまうのを何度恨めしく思ったことだろう。大変な傑作である。 

 Deeはランディ・ローズのギターソロ。大変短い曲だが、クラッシック・ギターで演奏されるクラシカルなこの曲は、このアルバムの中では異色を放っている。この曲と次のアルバムのタイトル曲Diary of a Madmanで聴ける前奏部分は、ランディのクラシック・ギターの素養がなければ生まれなかったものだろう。

 Revelation (Mother Earth)も劇的で、素晴らしい曲である。若いころ、雪の日に屋外で聴いたときに体がしびれるほど感動してしまった。音楽好きの私は、いつも楽曲を聴きながら移動しているのだが、自分の置かれた状況と優れた音楽が相俟った時にもたらされる特殊な効果はなかなか味わえないものだ。この曲もランディのギターソロが素晴らしい。

 忘れてはならないのが、Goodbye to Romanceだ。歪まないエレキ・ギターのアルペジオにのせたオジーの歌が爽やかで、心温まると言っても良いような曲である。次の曲Deeに続く展開も良い。重々しく、劇的な曲の中には、こういう曲も必要だ。レッド・ツェッペリンのThank Youのように。

 途中、ボブ・デイズリー、リー・カースレイクとのいざこざのために、この二人の演奏が別人の演奏に差し替えられるという「事件」があったけれども、現在新しく入手可能なものは、当初の演奏に戻されている。

 最高におすすめの一枚である。聞いたことがないなら、手にしてみて損はないはずだ。

難波弘之 / Party Tonight

評価 :4/5。

1981年作品

 三十年前のアルバムだが、今なお新品を購入することができるのは名盤の証(あかし)だろう。キーボードの名手にして作曲家、プログレの貴公子、難波弘之の二枚目のアルバムである。が、最初のアルバム「Sense of Wonder」はジャズあり、ハード・ロックあり、プログレッシブ・ロックありといった具合で、音楽の方向性が見えてこないアルバムだった。

 それに対して本作は、全体にプログレの軸が一本通っている。特に、そうる透と田辺モットの参加する「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」は圧巻だ。この二人は、難波弘之とSense of Wonderを結成して、「飛行船の上のシンセサイザー弾き」でも、その冴えた演奏を聴くことができる。

Music

  1. Overture
  2. パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    • Eyes
    • Hands
    • Teeth
  3. 夢中楼閣
  4. パーティ・トゥナイト(地球を遠く離れて)
  5. ロスト・ラブ(雨の宇宙空港)
  6. 渇きの海
  7. シルバーグレイの街

Musicians

  • All Keyboards & Vocals – 難波弘之
  • Chorus 椎名和夫、難波弘之(2)、山下達郎、鈴木宏子、和田夏代子、吉田美奈子(7)
  • Percussion – マック清水(4)、山下達郎 (3, 4, 7)、浜口茂外也 (7)
  • Drums – そうる透 (2)、青山純 (3, 4, 6, 7)
  • Bass – 田辺モット (2)、伊藤広規 (3, 4, 6, 7)
  • Guitar – 北島健二 (3, 6)、椎名和夫 (4, 7)

 「夢中楼閣」と「渇きの海」とは難波弘之のアルバムでしか聞けないサウンド。特に渇きの海は面白い構成で、私は結構好きだ。北島健二の無きのギターがすばらしい。

 3、4、7の三曲はポップな曲だが、このアルバムの調和を乱すことはない。難波弘之は小説家でもあって、どの曲もその歌詞の中にSFという別の軸が通っていることが、その調和をもたらしているのかも知れない。

 惜しむらくは、難波弘之の歌唱力がやや物足りないこと。物凄いテクニックで弾きまくるキーボードと比較すると、歌は別人に任せた方が良かったのではないかと思う。しかし、これは難波弘之のリーダー・アルバムなのである。そう考えると、彼の歌にも一応の及第点を付けることは可能である。

 天は二物を与えず、ということか。それを差し引いても、素晴らしい傑作だと思う。

 おすすめしたい。

Ozzy Osbourne / Diary of a Madman

評価 :5/5。

1981年作品

 ランディー・ローズとオジー・オズボーンのコンビで作成されたもう一枚の作品。2002年以降に発売されたものはドラムス、ベース差替え盤(※)だと思うが、全て聴き比べたわけではないのではっきりしたことは判らない。が、あまりそういうことにはこだわらずに、ともかくランディー・ローズの最後の大傑作として聴いてもらいたいものだ。

 オリジナル版を聴いてきた者にとってはあまり歓迎できないことではあるが、初めて聴く場合にはあまり問題にならないのではないかとも思う。一応音質は向上してゐるし。

 Flying High Again、You Can’t Kill Rock and Roll、Tonight、S.A.T.O.、Diary of a Madmanが秀逸。リマスター盤にはボーナストラックも入っている。

(※2022年追記)この問題は現在解消されていて、本来の演奏のCDを購入できるようになっている。リマスター盤も並行して流通しているようなので、購入する時に注意すれば、発売当初と同じ演奏のアルバムが入手できるはずだ。

Ozzy Osbourne / Blizzard of Ozz

評価 :5/5。

1980年作品

 ブラック・サバス脱退後のオジー・オズボーンが鬼才ランディー・ローズをギタリストに迎えて発表した記念すべき作品。ミスター・クローリー収録。
 ランディー・ローズは事故で若くして世を去ってしまうので、このコンビでの作品は、他に一枚を数えるのみである。

 この作品はオジー・オズボーンの作品なのではなく、「ランディー・ローズの作品」なのだと、私は思っている。ランディー・ローズが世を去った後も、オジー&ランディーの作品の素晴らしさが忘れられず、オジーの作品を何枚か購入したのだが、どれも期待外れだったからだ。

 Crazy Train(2曲目)、Goodbye to Romance(3曲目)、Dee (4曲目)、Mr. Crowley(6曲目)、Revelation (Mother Earth)(8曲目)、こうして挙げていくとアルバム収録曲の半分以上が、私にとって忘れえぬ作品となっている。

 2002年発売のCD以降は、ベースとドラムスが私がLPで聴いていたころとは別人の演奏に差替えられてしまった。リマスターしたのだから、確かに音は当時のものよりも良くなっているような気がするが、あまり歓迎すべき出来事ではない。しかし、今となってはリマスター盤以外は入手が難しくなってしまった。オジーとランディーは変らないのだからこれで良しとするしかないか。一応音質は向上しているようではあるし。(※)

(※2022年追記)この問題は現在解消されていて、本来の演奏のCDを購入できるようになっている。リマスター盤も並行して流通しているようなので、購入する時に注意すれば、発売当初と同じ演奏のアルバムが入手できるはずだ。

Eric Clapton / Unplugged

評価 :4.5/5。

1992年作品

 エリック・クラプトンは膨大な枚数のCDを発表しているが、どれか一枚を選ぶとすれば、これかな。クラプトンの作品としては、異色な部類に入ると思うが、傑作です。

 これも、今なら格安で入手できるはず。

 アマゾンで売り切れていても、都内の中古CD店を三件もはしごすれば、格安で手に入れる事が出来るだろう。

 安価に名盤を入手できるのだから、満足感は大きいはず。お買い得です。

Eagles / Hotel California

 イーグルスの最高傑作。ロックの名盤。
 Hotel California収録。この曲は昔バンドでコピーを演奏したことがあるので自分にとって特別な存在である。

 私は、Desperado(ならず者)あたりまでのカントリー色豊かなイーグルスのほうが好きなのだが、イーグルスから一枚選ぶとなるとまず最初にこのアルバムを紹介しないといけない。

 Hotel Californiaはミステリアスな歌詞が有名だが、ウィキベディアに説明が詳しいのでそちらを参照してもらいたい。(実は私も説明できるほど判っているわけではない。)

 私は、Hotel California、Wasted Time、Victim of Love、The Last Resortが好きだ。どの曲も素晴らしく、ハズレの曲はありません。

Santana / Caravanserai

 1972年、サンタナの最高傑作。

 サンタナの他の作品同様、ラテンのリズムとサンタナの泣きのギターといえばそれまでなのだが、彼の他の作品とは異なる緊張感がここにはある。全曲を通してだらけることない楽曲のクオリティーが、ロックとかラテンとかプログレッシブ・ロックとかジャズとかフュージョンとか、ジャンルを云々する意味を失わせるくらい素晴らしい音楽世界を創り上げているのだ。逆に言へば、この作品はその全ての要素を含んでいると言うことになのであるが。

 3曲目のLook Up (To See What’s Coming Down)、5曲目のSong of the Windが素晴らしい。
 そして、ラテン音楽好きの私は9曲目のLa Fuente del Ritmoも気に入っている。
 
 なお、本作を最後にサンタナを脱退したニール・ショーン(Neal Schon)とグレッグ・ローリー(Greg Rolie)は、後にジャーニーを結成することになる。

Led Zeppelin II

 御存知、伝説のバンド、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の二作目。
 胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love)所収。

 この作品はともかくジミー・ペイジのギター・リフの素晴らしさに尽きる。テクニック的に酷評されることの多いペイジだが、作曲の才能、特にギター・リフを作り出す能力には素晴らしいものがあったと思う。

 私は4曲目(A面最後の曲)のThank You、8曲目のMoby Dickが好きだ。勿論1曲目のWhole Lotta Loveも好きだけれども。

 昨日紹介した「ZOSO」に勝るとも劣らない名盤。

 この作品をレッド・ツェッペリンの最高傑作と呼ぶ人も多い。

Led Zeppelin IV (“Zoso” or “Four Symbols”)

評価 :5/5。

1971年作品

 レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の、そしてハード・ロックの不朽の名盤。天国への階段(Stairway to Heaven)所収。1971年発売。

 今日、便宜的にこの作品は「レッド・ツェッペリンⅣ(Led Zeppelin IV)」などと呼ばれ、多分CDの背表紙にも同様の印字がなされているのかも知れないが、この作品が世に出た当時、LPレコードのジャケットにはグループ名も作品の名称も一切の表示がされていなかった。つまり、この作品には正式の題名がないのである。そのため、便宜的に「ZOSO」とか「Four Symbols」とか呼ばれていたらしい。これは、内袋やレコード盤(中央の紙の部分)にレッド・ツェッペリンのメンバーを表す四つのシンボルが印字されていたのだが、そのうちジミー・ペイジを表すシンボルがZOSOと読めたことによる。「Four Symbols」は文字どほり四つのシンボルが書かれていたからだ。

 詳細はWikipediaに記述されている。リンクを貼っておいたので、見てもらいたい。そこで、「Four Symbols」も見ることができる。

 Black Dog(1曲目)、Rock and Roll(2曲目)はハード・ロック、限りなき戦ひ(The Battle Of Evermore・3曲目)はアコースティックナンバー、そして天国への階段(Stairway to Heaven)はアコースティックに始まり、ハード・ロックで終る。
 レッド・ツェッペリンは「Led Zeppelin Ⅰ」、「Led Zeppelin Ⅱ」でハード路線、「Led Zeppelin Ⅲ」でアコースティック路線に大きく舵を切ったことを考え合せると、このアルバムのA面(上記の4曲がLPのA面におさめられていたのだ)の楽曲の配置はいささか象徴的ですらある。

 それゆえ天国への階段は、これまでの三作の集大成と言ってもよいのではないだろうか。私はそう思っている。

 「B面」の曲も秀逸。