Anker Soundcore Life Q30 の使用感

評価 :4.5/5。

 Anker Soundcore Life Q30を買ってから三週間以上経ったので、このノイズ・キャンセリング・ヘッドホンの使用感について記してみたい。

 ヘッドホンの機能やボタンの配置などについては、多数のレビューを簡単に見つけることができるので、二番煎じはやめにして、私がどう感じたのかを中心に記していくことにしたい。

ノイズ・キャンセリングの効き具合

 これはかなり良い。窓が開いた状態で電車が地下を走っている(地下鉄のような)轟音の中でも、音楽を楽しむことが可能になった。ノイズ・キャンセリングの効果で轟音が完全に消え去るわけではないが、かなり小さくなる。このヘッドホンを使用すれば、音楽の音量をそれほど上げなくても、それぞれの楽器の音が聞き分けられるようになった。

 とりわけ、適切な音量のままで、しかも轟音の中でもベース・ラインがしっかり聞き分けられるのは評価したい。ノイズ・キャンセリングの効果と、製品から出る豊かな低音のおかげだろう。

 このヘッドホンを使用すれば電車の中で映画を見ることも可能である。ただ、台詞の声が小さくなったときに、少し音量を上げる必要が生じるかもしれない。

 十分に静かな環境だと思っていても、イヤホンの電源を入れたときに環境音がスッと消えるのは愉快なものである。

音質

 これも合格点である。個人的な経験ではあるが、安物のイヤホンやヘッドホンでも静かな部屋で試してみると驚くほど高音質に感じるものだ。音楽観賞には静けさがどんな高級な音響機器の代りになりうるのである。また、イヤホンよりはヘッドホンの方が低音がきちんとなる機器が多い。低音の聴こえない音楽ほど味気ないものはない。騒音を減らすヘッドホンであるこの製品に期待して購入した私の選択は、正解だったのであろうか。

 このブログを書くために、電車の中で何曲か注意深く聴いてみた。

 ビル・エヴァンスの「愚かなり我が心(My Foolish Heart)」では、音量を上げなくてもウッド・ベース(コントラ・バス)の深い響きがしっかりと聞えてくるし、スネア・ドラムをブラシでこする繊細な音もきちんと聞き取ることができる。ビル・エヴァンスのピアノも綺麗だ。美しいと思う。ジャズ・ピアノ・トリオの音楽を十分に楽しく聴くことができた。

 エディー・パルミエリのカフェ(Café)(El Rumbero del Pianoの新しい録音)では、しっかりとした低音の上で、さまざまな打楽器がきちんと聞える。コーラスもヴォーカルも前面に出てくる。エディーのピアノも綺麗だ。トランペットも、トロンボーンもよい。ラテン音楽も全体的に楽しく聴ける音だ。

 最後にジプシー・キングスのインスピレーションを聴いてみる。スパニッシュ・ギターのメロディーが美しく、バック・ギターもよく聞こえる。ベースもしっかりと聞えている。パルマ(手拍子)も歯切れよくなっている。全体的に包まれ感のある美しい音。電車の中でも音楽を楽しく聴くことができる。生音のギターも美しい音で聴くことができた。

 多様なイコライザーのプリセットが売り物ではあるが、私は標準設定(「デフォルト」と書かれている設定)が気に入っている。ジャズもラテンもハードロックもクラシックも、これ一択だ。だから、私にとっては、この多様なイコライザー設定は無用の長物である。ただ、音質の好みは人それぞれだろうから、選択肢がたくさん用意されていることは評価すべきだろう。

 全体的に豊かな音で、ヘッドホンならではの耳元の空間のなせる業なのか、音には包まれるような心地よさがある。低音は豊かで、中高音も綺麗だ。ベース、ギター、ドラムス、ヴォーカル、トランペット、サクソホン、フルート、ボンゴ、コンガ。どれもしっかりと音を届けてくれる。電車の中で音楽を聴いていても、聞き取りにくい音域はないと感じる。

接続コーデック

 製品としてはSBCとAACに対応しているはずだが、手持ちのアンドロイド端末(スマートフォン)では、SBCでしか接続できなかった。いろいろ調べてみた結果、スマートフォンがハードとしては対応していても、権利の関係でAAC接続することができないのだろうと判断した。そのため、音質や遅延、接続性についてはSBCで接続した状態での評価である。

接続性

 街を歩いているとき、電車に乗っているときは完璧な接続性で、途切れることはほぼない。

 接続が途切れがちになるのは、駅のホームを歩いているときだ。電車から降りたとたん、音楽がブツブツ途切れるのは残念な所である。特に新宿駅のホームにいる時は頻繁に音が途切れる。が、駅のホームを歩くのは短時間だから、これは許容範囲と感じている。不思議なことに地元の駅では接続が途切れることはない。新宿駅とは別のターミナル駅でも途切れやすくなるので、複数のプラットフォームを持った駅の何かがBluetoothを邪魔しているのだろう。

遅延の有無

 電車の中でAmazonプライムビデオをみても、特に遅延は感じない。一般にSBCというコーデックは遅延が生じるとされているようだが、実用上は特に問題はないようだ。音楽鑑賞、動画視聴には特に問題ない機器に仕上がっていると思う。

 音楽ゲームなどをする場合など、シビアなタイミングを求める場合はこの限りではないかも知れない。私はそのような用途には使わないので、評価できないのである。

 ちなみに、有線接続は音が出ることを確認しただけで、日常的には使用していない。そのため、この記事の評価は全てBluetooth接続して使用した結果によるものである。

装着感

 これは微妙だ。耳の形は百人百様なので、これはあくまでも私が使用した場合の感想であるが、左耳がイヤホンの内側に当って痛く感じることがある。ところが、電車の遅延のため五時間付けていても痛くならない日もあるのが微妙と評したゆえんである。耳に当った違和感は、片道二時間の通勤で我慢できる程度のものなので、これも許容範囲だ。

 ヘッドホンのイヤー・パッドや、頭頂部が当る部分のクッションは柔らかで問題は感じない。

 ヘッドホンの締め付ける力はやや強め。屋外で使用することを考えると、意図せず外れてしまうのを防ぐためには必要な強さなのだろうが、顎関節症の私は顎の関節が違和感を感じることもある。が、これも、許容できる範囲だろう。

 全体的な満足度

 この値段でこれだけの機能を持った製品が手に入れられる。良い時代になったものだと思う。

 窓を開けて走行する電車の中でどこかに隠れてしまっていた音楽は、このヘッドホンを使用することでまた私のもとに戻ってきてくれた。このヘッドホンは、今や、通勤に手放せない製品となっている。

 全体的な満足ととしては、私は Anker Soundcore Life Q30 に十分満足している。音楽を聴いたりビデオを見たりすることで、長時間の通勤時間を多少なりとも有意義なものにするために、このヘッドホンはなかなか有用なものである。

 まだ短期間しか使っていないが、今のところ良い買い物をしたと思っている。

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