Roberto Fonseca / No Limit : Afro Cuban Jazz

評価 :4.5/5。

2001年作品

 ロベルト・フォンセカはキューバ生まれのピアニスト。あのブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのコンサートのツアーメンバーとしても有名。このCDは彼の日本盤初登場作品である。
 肝腎の音楽のほうはどうかというと、ラテン音楽よりもジャズに近いアプローチだと思う。エディー・パルミエリが(パルミエリはプエルトリコ系だが)ラテン音楽からジャズの方向へ近付いていったこととは対照的に、ロベルトの音楽の原点はジャズにあるのではないか。そして、そのジャズに自分の周りにあるラテン音楽のスパイスを加えたら、彼のラテンジャズになつたのではないだろうか。

 「KOWO KOWO」は表題の注釈にあるとおり、濃厚なアフリカの匂いがする楽曲である。エディー・パルミエリにしてもアフロ・キューバン・オールスターズにしても、このロベルト・フォンセカにしても時々アフリカ起源の土俗的な楽曲を出してくるのだが、それだけこの地域への黒人奴隷の移入が大量であったために「アフロ・キューバン」と呼ばれる音楽の混血現象が発生したのであろう。

 「DE QUE VALE」でロベルト・フォンセカは少々実験的とも言える方法を試している。叙情的な女性の歌声に、河の流れるようなゆったりとした旋律がかぶさる曲調が一転してクラブミュージック風に変って行く。私はクラブミュージックというものは疎くてあまりよく知らないのだが、この曲は面白いと思う。

 普通のジャズに飽きた人、ラテン音楽が好きな人にお勧めしたい一枚である。

(註)これは平成20年公開の文章に一部手を入れたものです。

Nuyorican Soul

評価 :3.5/5。

1997年作品

 このアルバムは10年以上前の作品だが古臭さは感じさせない。

 一応ラテン・ジャズに分類してみたが、巷ではテクノとかハウスとかにジャンル分けするらしい。私はインコグニートをAcid Jazzに分類しているのだが、そのインコグニート(Incognito)のサウンドとも共通するところがある。あるいは、このアルバムをワールド・ミュージックに分類してもよいだろう。もしかしたら、今や音楽をジャンル分けすること自体が無意味なのかもしれないが、しかし音楽ジャンルが好みの音楽に辿りつくための道標であることも事実である。

 閑話休題。

 エディー・パルミエリとインディアとが参加している。
 ニューヨリカン(Nuyorican)とはニューヨーク生まれのプエルトリコ人のことだが、まさに御大パルミエリはニューヨリカンだ。

 インディアの歌うRunawayが秀逸。下方にYouTubeへのリンクを貼っておいたので是非聴いてみてください。
 Taita CañemeとHabriendo el Dominanteはエディー・パルミエリのピアノが楽しめる作品。

 アルバムは全体がサウンドとして非常に洗練されていて、恰好いいサウンドに仕上がっている。

 古いアルバムだが、お薦めしておきます。

Eddie Palmieri / Listen Here !

評価 :4.5/5。

2005年作品

 御大、エディー・パルミエリ(Eddie Palmieri)の作品。彼は昨年(2009年)ブルー・ノート・東京出演のため来日したので御存じの向きもあるかもしれない。
 ラテン音楽を期待して購入したが、ジャズ色が強すぎてあまり好きになれなかった作品だが、最近聴きなおしてみると、ラテンのリズムは少々マイルドだが、きちんとラテンジャズになっていて、なかなかよろしい。エディー・パルミエリ音楽生活50周年記念アルバム。

理屈抜きに楽しもう。