1983年作品
Gipsy Kings のメジャー・デビュー前の作品が、きのう紹介したAllegria とこの Luna De Fuegoである。
この2枚は、ギターと歌(カンテ)と手拍子(パルマ)だけとうふ、非常に素朴な編成で演奏されており、メジャーになった後よりも純粋な形でジプシー・キングスの音楽が楽しめる。
Allegriaほどの名曲揃いではないが、手元に置いておきたい一枚である。
音楽は人生とともに
1982年作品
このアルバムと「Luna de Fuego」は、ジプシー・キングスの世界デビュー前の作品だ。そのため、後のCDに同じ曲が異なる録音で採録(再録?)されていたりする。
しかし、だからと言って、このアルバムに価値が無いわけではない。いや、むしろ逆である。メジャー・デビュー後のサウンドように、ドラムや電子楽器の肉付けは無い。聴いた感じでは、一発録りで作られたような録音で、曲の間が掛け声でつながっていたりするけれど、それだけに彼らの土臭い情感が生で伝わってくる。
サウンドは素朴で、かき鳴らすギターとパルマ(手拍子)と独特の節回しのカンテ(唄)、そしてトニーノ・バリアルド奏でるギターの旋律。これだけで出来上がっている。これらが渾然一体となって、御機嫌な音楽空間を創り上げているのだ。
そして、なにより曲が良い。Pena Penita、Allegria、Djobi, Djoba、Un Amor、Pharaonと、名曲が目白押しだ。
私が、UK版のCDを特に薦めるのは、国内盤「ジョビ・ジョバ」や米国盤「Allegria」では、「Allegria」と「Luna de Fuego」を一枚に編集しているため、当然一枚のCDには全ての曲が収まりきらないために、「Requerda」や「Pharaon」などの曲がカットされてしまっているからだ。ジプシーキングスの本当のファースト・アルバムが完全な形で聴けるのが、英国盤なのである。
また、後にChico & the Gpysiesを結成するChico Bouchikhiが在籍していることも特筆すべきだろう。
このアルバムはジプシー・キングスの原点なのである。
(註)この文章は2005年にアマゾンのレビューに投稿した私の文章に一部手を入れたものです。
2004年作品
このアルバムは「ルーツ」と銘打っただけあって、メジャーデビュー前の作品を彷彿とさせる、ジプシー・キングスの原点に立ち返ったかのような作品だ。最小限の打楽器とコントラバス以外は、ジプシー・キングスのギターと歌とを思い切り堪能できる作品に仕上っている。
二曲のFandangoは私の耳には完全なフラメンコに聞える。ギター一本とカンテ(歌)だけの素朴な作品なのだが、私はこのアルバムの中ではこの二曲が最も気に入っている。やはり彼らのルーツにはフラメンコと共通する部分が多いということなのだろう。フラメンコはスペイン南部アンダルシア地方に辿りついたジプシーたちの音楽が「ルーツ」なのだから。
4曲目のBoleriasと13曲目のSoledadも秀逸だ。
私はUK版のDVD付CDを手に入れたのだが、どうせ買うのならばこちらをおすすめする。このDVDは「ジプシー・キングスが田舎の別荘で演奏してゐる風景」とでもいう状況が採録されているのだが、これだけでも十分見る価値のある優れた作品だ。DVDはPAL方式のためテレビでは見ることができないようだが、私のパソコンでは何の問題もなく再生できた。
(註1)この文章は平成20年の文章に一部手を入れたものです。
(註2)DVD付きのCDは現在では入手が困難になっているようです。
一曲目はメンバー紹介である。音楽に乗せて、ファニア・オールスターズの面々を一人ずつ紹介していく。私にはどこまでが正式のメンバーかは判らないが、中にはゲスト出演もいるらしい。ジョニー・パチェーコ(マエストロと紹介されている)以下、ロベルト・ロエーナ、ラリー・ハーロウ、ロベルト・ロドリゲス、レイナルド・ホルヘ、ウィリー・コローン、ボビー・クルーズ、エクトル・ラボー、エル・コンテ・ロドリゲス、アダルベルト・サンチアゴ、イスマエル・ミランダ、チェオ・フェリシアーノ、ボビー・バレンティーン。(全部聴き取れてませんよ、多分。気になる人はCDを手に入れて見るべし。)
言葉にすればただそれだけのことなのだが、のっけからすさまじいリズムの洪水で何もかも忘れさせられる。後は最後まで音楽に浸るだけだ。説明は要らない。そんな、素晴らしい作品である。二曲目はあの「Descarga Fania」だ。この曲が聴きたくて私はこのCDを購入したのだが、どうしたわけかメンバー紹介のほうをより頻繁に聴いているようだ。
エディ・パルミエリ、アルトゥーロ・サンドヴァル、ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ、などのサルサ、ラテンジャズ、その他のラテン音楽が好きな方には特にお薦め。
ちなみに、サザン・オールスターズのグループ名はこのファニア・オールスターズからとったということらしい。「サザン」のほうは良く判らないが、こちらアルバムを何枚も出したスターが集まった本当の「オールスターズ」だ。
1997年作品
このアルバムは10年以上前の作品だが古臭さは感じさせない。
一応ラテン・ジャズに分類してみたが、巷ではテクノとかハウスとかにジャンル分けするらしい。私はインコグニートをAcid Jazzに分類しているのだが、そのインコグニート(Incognito)のサウンドとも共通するところがある。あるいは、このアルバムをワールド・ミュージックに分類してもよいだろう。もしかしたら、今や音楽をジャンル分けすること自体が無意味なのかもしれないが、しかし音楽ジャンルが好みの音楽に辿りつくための道標であることも事実である。
閑話休題。
エディー・パルミエリとインディアとが参加している。
ニューヨリカン(Nuyorican)とはニューヨーク生まれのプエルトリコ人のことだが、まさに御大パルミエリはニューヨリカンだ。
インディアの歌うRunawayが秀逸。下方にYouTubeへのリンクを貼っておいたので是非聴いてみてください。
Taita CañemeとHabriendo el Dominanteはエディー・パルミエリのピアノが楽しめる作品。
アルバムは全体がサウンドとして非常に洗練されていて、恰好いいサウンドに仕上がっている。
古いアルバムだが、お薦めしておきます。
1981年作品
ランディー・ローズとオジー・オズボーンのコンビで作成されたもう一枚の作品。2002年以降に発売されたものはドラムス、ベース差替え盤(※)だと思うが、全て聴き比べたわけではないのではっきりしたことは判らない。が、あまりそういうことにはこだわらずに、ともかくランディー・ローズの最後の大傑作として聴いてもらいたいものだ。
オリジナル版を聴いてきた者にとってはあまり歓迎できないことではあるが、初めて聴く場合にはあまり問題にならないのではないかとも思う。一応音質は向上してゐるし。
Flying High Again、You Can’t Kill Rock and Roll、Tonight、S.A.T.O.、Diary of a Madmanが秀逸。リマスター盤にはボーナストラックも入っている。
(※2022年追記)この問題は現在解消されていて、本来の演奏のCDを購入できるようになっている。リマスター盤も並行して流通しているようなので、購入する時に注意すれば、発売当初と同じ演奏のアルバムが入手できるはずだ。
1980年作品
ブラック・サバス脱退後のオジー・オズボーンが鬼才ランディー・ローズをギタリストに迎えて発表した記念すべき作品。ミスター・クローリー収録。
ランディー・ローズは事故で若くして世を去ってしまうので、このコンビでの作品は、他に一枚を数えるのみである。
この作品はオジー・オズボーンの作品なのではなく、「ランディー・ローズの作品」なのだと、私は思っている。ランディー・ローズが世を去った後も、オジー&ランディーの作品の素晴らしさが忘れられず、オジーの作品を何枚か購入したのだが、どれも期待外れだったからだ。
Crazy Train(2曲目)、Goodbye to Romance(3曲目)、Dee (4曲目)、Mr. Crowley(6曲目)、Revelation (Mother Earth)(8曲目)、こうして挙げていくとアルバム収録曲の半分以上が、私にとって忘れえぬ作品となっている。
2002年発売のCD以降は、ベースとドラムスが私がLPで聴いていたころとは別人の演奏に差替えられてしまった。リマスターしたのだから、確かに音は当時のものよりも良くなっているような気がするが、あまり歓迎すべき出来事ではない。しかし、今となってはリマスター盤以外は入手が難しくなってしまった。オジーとランディーは変らないのだからこれで良しとするしかないか。一応音質は向上しているようではあるし。(※)
(※2022年追記)この問題は現在解消されていて、本来の演奏のCDを購入できるようになっている。リマスター盤も並行して流通しているようなので、購入する時に注意すれば、発売当初と同じ演奏のアルバムが入手できるはずだ。